令和6年11月15日
関係各位
(公社)日本ボクシング連盟
会長 仲間 達也
「スポンサー規程」ならびに「日本代表心得」の施行について
拝啓 時下、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。日頃より公益社団法人日本ボクシング連盟(以下 本連盟)の活動に対しまして格別なご配慮を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、令和6年11月13日に理事会を開催し、標記を施行する事となりましたので通知いたします。
まず、「スポンサー規程」(以下、同規程)の制定は、本連盟に登録する全ての選手(以下 選手)が、個人スポンサー契約を締結する際の定めを決定したものです。
平成30年以前は、選手が各個人でスポンサー契約を締結することは不可能でした。これは、「競技者又は役員としての行動によって、自ら物質的利益を求めないこと」「競技者及び役員として得た名声を、商業宣伝のために利用しないこと」という本連盟の憲章に謳われた、アマチュアリズムが徹底されるべきであると考えられてきたからです。時代の流れとともに、体育がスポーツと呼ばれるようになり、スポーツを産業として捉え、収益を得ていくことへの理解が広がっていきました。しかしながら、当時、何らかのスポンサー契約締結が必要な場合は、選手個人ではなく、企業と本連盟が契約を締結し、契約金額の30%を連盟が徴収、70%を選手に還元するという形の契約が行われ、自由かつ活発なスポンサー獲得活動というのは困難でした。
平成30年の内田前会長の下での新体制移行後、この制度は廃止されました。この制度の存在が、選手による自主的なスポンサー獲得活動、すなわち競技生活のために必要な資金を集める活動を阻害していると考えられたためです。6年経過した中で、個人でスポンサーを獲得する選手も増え、選手たちの活動の幅も広がり、この制度の廃止はアマチュアボクシング界に好影響を与えた決定であったと考えております。ただし一点問題があり、実は廃止と同時に、選手が個人スポンサー契約をする際に、1) 契約企業情報に関しては提出を義務づける、2) 契約に関しては企業・本連盟・選手との3者契約として、企業は(選手への)契約金の10%に相当する金額を本連盟に保証料として支払うなどの決定もなされていました。
個人スポンサーの獲得並びに、選手たちの活動の幅の拡大は非常に良いものと理解できますが、問題も無かった訳ではありません。本連盟のオフィシャルサプライヤーと競合する企業との契約等が問題となってきました。様々な企業が選手の活動を支援してくださるのは素晴らしい事ですが、本来オフィシャルサプライヤー製品の着用義務がある代表合宿や、代表遠征において、競合品を着用している選手の姿がマスメディア、SNSなどに登場している等の問題を、各方面から指摘されることも多くなり、本連盟運営上の課題として認識されるようになりました。競合する契約をどう扱うかをルール化すること、代表選手としてどう振る舞うべきかを示すこと等、本連盟として示す事ができていなかったのは、大いに反省すべき事態だと感じています。
その中で、パリオリンピック本戦において、オフィシャルサプライヤーから提供されたリングシューズではなく、競合他社製品を着用して試合に出場するという問題が発生しました。オフィシャルサプライヤー製品が足に合わず、競技力を最大限に発揮するために競合他社品を着用したとはいえ、ロゴへのマスキング等、オフィシャルサプライヤーへの配慮なく競合他社品をオリンピック本戦で使用されたことは、オフィシャルサプライヤー契約の根幹に違反する重大な背信行為であり、長く本連盟をサポートし続けてくださっているサプライヤー様へ大変失礼な、敬意を欠く行動であったと解釈せざるを得ません。また、このことは他の参加選手や関係者にも大きく影を落としました。今後のオフィシャルサプライヤー契約継続が危ぶまれる状況に陥りましたが、本連盟側の謝罪及び再発防止策の提示を約束すること、そして1年分の契約金を返還することで、契約継続は可能となりました。上記非違行為は、本連盟の社会的信用を失墜させかねない行為であり、代表選手たちに対する指導不足であったことは真摯に反省するべきだと考えております。やはり、何の定義・規程も定めないまま、事実上本連盟の憲章と矛盾するスポンサー獲得活動を継続することには限界が生じていると考え、
今回、同規程の策定に至りました。
詳細は同規程を精読して頂きたいですが、簡単に述べると
1) スポンサー獲得活動は、競技力向上のための活動を健全に行なっていくためのものであり、憲章とは矛盾しない、
2) 契約の締結は自由に行えるが、契約書を添えて本連盟に提出する義務がある、
3) 本連盟のオフィシャルサプライヤーと競合する企業との契約は行えない、
4) ある一定以上の高額な個人スポンサーを獲得した場合は、本連盟に一定額の保証料支払いの義務が生じる可能性がある、の4点になります。
保証料の支払い義務が発生する金額と割合に関しては、今後、アスリート委員会をはじめとする関係各所と共に十分に協議して、同規程細則の中で決定していくことになります。こちらに対しては選手のスポンサー獲得活動を阻害する、金銭的に苦しい選手たちの活動費からさらにお金を徴収するという意図はありません。本連盟は、昨年まで全ての代表選手の合宿・遠征に自己負担を要求しないという運営を行なってまいりました。しかし、高騰する渡航費や宿泊費の影響もあり、その維持が不可能となってきたため、パリオリンピック以降より最低限度の自己負担を要求するように決定しました。実力を身につけ、これまでにないような大きなスポンサー(1社で数百万レベルの)を獲得可能となった選手には、できれば、本連盟の運営並びにこれから世界に羽ばたこうとしている若い選手たちの遠征に対して力を貸して頂きたい(目安として、契約金の数%〜最大で10%)、というところが本連盟としての考えであります。個人でスポンサー獲得ができるまでに至った選手もそれまでに多くの方の有形無形の支援があったはずです。後進のためにもご賢察頂きたいと思います。
また、このスポンサー規程と同時に、代表選手としての心得を記した「日本代表心得」を策定しました。こちらは日本代表としての心構えと振る舞いを約束して頂くものです。代表選手が、多くの選手たちの憧れ、模範となるためにどのように振る舞うべきかを記載したものです。こちらに関しては、各代表遠征の際に、署名して本連盟に提出して頂きます(提出がなければ遠征等への派遣はできません)。
下記をご確認いただき、運用へのご理解・ご協力の程どうぞよろしくお願いいたします。
記
1 スポンサー規程
(1)目的
本連盟に登録する全ての選手が締結する、スポンサーシップ契約およびマネージメント契約、
並びに寄付に関して定めることを目的とする。
(2)施行日
令和6年11月13日
(3)運用開始日
令和6年12月1日(運用開始前に締結した契約や随時規程に適合させていくこと)
2 日本代表心得
(1)目的
日本代表として選出された全ての選手・スタッフが日本代表として相応しい行動を取るための指針となるもの。日本代表としての合宿・遠征事業の前に
必ず署名して提出する。
(2)施行日
令和6年11月13日
(3)運用開始事業
ア ワールドボクシングカップ ファイナル シェフィールド 2024
イ ASBC ASIAN CHAMPIONSHIP 2024
3 添付資料
以上