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Japan Boxing Federation

長期計画

公益社団法人 日本ボクシング連盟 中長期計画

令和6年7月27日

 

1 競技力向上

(1)組織として目指すところ(ミッション、ビジョン、戦略等)

ア 女子競技者の増加

 2024年パリオリンピックは史上初めての参加選手数が男女同数になり、男子選手と同数の5250人の女子選手がパリで活躍することとなった。今後、世界的に女子スポーツへの注目度が増していくことは確実である。我がボクシング競技の女子選手団は、パリオリンピックへの切符を獲得することはできなかったが、今回惜しくもParis2024出場を逃した選手たちも、世界選手権やアジア選手権で素晴らしい成績を示している。しかしながら、現在、女子選手の登録者数は約650名と全体の15%弱で決して層が厚いとは言えない。今後、オリンピックで確実かつ、しっかりとした結果を残すためには女子選手の競技人口を増加させ、層を厚くすることは必須である。 そのための取り組みとして、公開競技として一部階級でのインターハイ開催など、女子選手の活躍の場を確保していく。

 

イ 責任者を明確にした、継続性のある強化体制の構築

 NFにおける重要な仕事である強化活動をどのように行っていくかに関しては、大きな課題である。本年度役員改選に於いて会長が変わり新体制における改革を見据えて、本年度より、理事2期目を迎える須佐勝明氏を強化事業のトップである「ハイパフォーマンスディレクター」に据えた。須佐理事には、強化の責任者として大胆な改革を行っていただき。パリオリンピック終了後より、次期オリンピックを見据えた中長期計画を遂行できる体制を作っていく。

 

ウ 達成目標

(ア)男子強化中長期計画

育成・強化のためのアスリートパスウェイ

<JAPAN BOXING FEDERATION

ATHLETE DEVELOPMENT PATHWAY>

 F(Foundation)土台となる遊び・動作・スポーツ

F1 ボクシングを体験し、基本動作を習得する

F2 基本動作の反復とマスボクシングを経験する

F3 技術力が増し、競技性が高まる

 

T(Talent)スポーツタレントの顕在化及び実績

T1 ジュニアで優勝する

T2 ユースで優勝する

T3 ジュニア・ユースの日本代表となり国際大会で入賞する

T4 ジュニア・ユースの日本代表となり国際大会でメダルを獲得する

 

E(Elite)国際競技大会での成功

E1 日本代表となり、国際大会で入賞及びメダルを獲得する

E2 各種国際大会(アジア選手権大会・アジア競技大会)で入賞及びメダルを獲得する

E3 世界選手権大会・オリンピックで入賞及びメダルを獲得する

 

M(Mastery)国際競技大会での持続的な成功

継続的にメダルを獲得する

(アジア選手権大会・アジア競技大会・世界選手権大会・オリンピック等の主要大会)

 

(イ)女子中長期計画

育成・強化のためのアスリートパスウェイ

Foundation土台となる遊び・動作・スポーツ

F1 マスボクシングを追求するか実戦競技に移行するか競技を選択する

F2 小学校1年から参加できるマスボクシング大会への参加

F3 一流選手とともに体験する

F4 遊びを取り入れて楽しむ

 

Talentスポーツタレントの顕在化及び実績

T1 ジュニアの国際大会でメダル獲得

T2 ジュニア世代から積極的に海外に出るようにし、国際舞台での活躍を身近な目標として意識させる

T3 フィジカルトレーニングの重要性と方法をジュニア世代から浸透させていく

T4 ボクシングの実戦競技ができるようになる小学校5年生からの選手発掘を活発にする(マスボクシング大会出場選手も含め)

 

Elite国際競技大会での成功

E1 アジア大会、オリンピックメダル獲得

E2 世界選手権メダル獲得

E3 世界選手権ベスト8入り

 

Mastery国際競技大会での持続的な成功

世界選手権、アジア大会、オリンピックでのメダル獲得の常連国となる

 

エ 戦略課題

国内での強化合宿は勿論のこと、国外での合宿を実施する。強豪国に比べ圧倒的に経験の浅い日本選手にとって、試合での成果のみならず、国外で外国選手と手合わせすることや、実戦練習を行うことが有益であるが強化を目指すところであるが、派遣費の捻出が厳しい状態となっている。

 

オ 課題解決のための戦略及び実行計画

経験の浅い日本人選手達に国際舞台を多く経験させる。その経験から、外国選手より劣る部分を認識させる。多くの選手はフィジカル面において外国選手より劣る。コンディショニングと共に強くバランスの取れた体が必要となる。その上で、国際舞台の経験から、様々な場面を想定した3分3ラウンドを戦い抜ける戦略を練り、確立させていくことが必要となる。

以上より国外での合宿は非常に重要なトレーニングとなる。国外での合宿を年に1~2回経験させたい。国内での合宿では得ることのできない経験を活かし、国際大会に繋げたい。そうすることにより、国際大会での位置(レベル・順位)や、各国の選手の情報収集も含め行える。そして、アジア選手権大会や世界選手権大会、アジア競技大会といったオリンピックに繋がる大会での成果に繋げられるように多くの機会を作り派遣できるようにしていきたい。

 

カ 計画・実施・検証・見直しのプロセス

本連盟の場合、ジュニア・ユース世代の選手の活躍に比べエリート世代の活躍が乏しい部分がある。上記の通り強化策としてできることは見据えられている状況であるので、大きな大会ごと・年度ごとに検証・見直しを繰り返すプロセスを行っていく。

 

2 普及

マスボクシングを軸に据えた普及活動の推進

 アマチュアボクシングの登録競技人口は約5000人と多くはない。しかし、ボクシングの潜在的競技人口は少なくはないと考えている。老若男女問わず、フィットネスのためにボクシングジムに通う人は増えている。フィットネス感覚でボクシングに取り組んでいる方たちを増やしていきたい。

 本連盟が2021年より取り組んでいる「マスボクシング」競技は、競技ボクシングへの参入障壁を下げる鍵と考える。マスボクシングとは、寸止めのボクシングであるが、ボクシングというスポーツの魅力をそのままに、より多くの方々にこの競技に参加してもらい、楽しんでいただくために、全国大会も開催している状況である。大きな可能性を持つこの競技の参加者を加速度的に増やしていけるように、昨年より、マスボクシング強化・普及委員会を設置し、積極的な普及・啓発活動を行っていく。

 次に、本連盟の広報戦略委員会は各種マスメディアの現場で勤務している者達が所属している。アマチュアボクシングのトップ選手の場合、プロボクシングに劣らない力量を備えているものの、マスメディアへの露出が控えめである。普及委員会の尽力により少しずつ露出や取り上げられ方が増えていっているので選手や関係者の協力を得る形でますます、普及を進めていきたい。

 

3 マーケティング

 本連盟の国内最大のイベントは東京墨田区総合体育館で行われる全日本選手権となっている。全日本選手権に限らず全ての主催大会でYoutube配信を行っており、特に全日本選手権は準決勝・決勝にはプロボクシング世界チャンピオンを解説に呼ぶなどもあり、視聴者数が多くマスメディアの注目が多くなっている。全日本選手権を中心に本連盟を支援くださる協賛企業を募り増やし続けて行く。

 

4 ガバナンス

 ガバナンスコードに基づいた適合性を持った組織運営を心がける。

 組織運営に於いて、弁護士、公認会計士、学識経験者のサポートを受けながら組織運営をしていくことが望ましい。現在、本NFに登録している会員数は他NFに比べると少なく、人材や財源に限りがある状況となっている。また、運営に係わる者の多くがボランティア状態で、役員も同様であり有資格者にボランティア的サポートを求めるには限界がある状況となっている。。

 次に、全国の会員にとってガバナンスコードの適合性についての重要性への理解が乏しい部分や理解は示しているもののコードに沿った対応くださらない部分が多々ある状況である。ウェブサイトで開示を行っているものの、深くまで興味を示さない方や、規定そのものの量が非常に多く、係わっている者でも覚えきれなかったりしている状況である。しかし、本連盟として数年間ガバナンスコード適合について随所に周知行っていることもあり、理解くださっている者が増えて行っているのも事実であり、引き続き適合団体としての活動を続けて行く。

 

5 オリンピック競技であり続けるための国際社会の中における貢献

 国際的な情報収集、コミュニケーションは、NF運営にとって最重要課題である。2018年〜現在までの6年間で、複数回の国際コーチ試験、国際審判試験を国内大会において開催し、国際コーチと国際審判員の数は3倍に増加した。国際コーチや審判が多く誕生することで、国際大会で通用する、すなわち「勝てる」スタイルを理解した強化活動を行える。これは、IFである国際ボクシング協会(IBA)と良好にコミュニケーションをとってきた結果である。

 しかしながら、現在ボクシング競技は非常に難しい政治的局面に瀕している。IBAが国際オリンピック委員会(IOC)からの資格停止処分を受けたことにより、現状このままではパリの次、ロサンゼルスオリンピックではボクシング競技は開催されない。この状況を打開するためにオランダやアメリカなどを中心にして、新たなIFを目指す団体として、World Boxingという団体が立ち上がり、10月末というIOCの期限を目指して最低50カ国の加盟を獲得すべく働きかけている。本NFは何をすべきか。非常にひっぱくした、最大の運営課題である。

 もちろん我々としても、IBAの問題点に手をこまねいて見ていただけではなく、競技の中核である「判定」を透明化させるために、新判定システムを提案し、IOCへの信頼を回復するために、IBA加盟のNFとして貢献を示してきている。

 そういった意味でも、IBAの資格停止処分は非常に残念なことだと受け止めている。その中で我々が何をすべきか。我々の活動の主軸は常に、全てのボクサー、全てのボクシングファン、そして全てのボクシング関係者のために、最良の選択をしていくことである。そのために当然、WB加盟に対しても十分に検討をしなければならない。しかしながら問題は複雑に絡み合っており、情報の収集と十分な話し合いが必要となっている。今後も、ボクシングがオリンピック競技であり続けるために、最大限の努力を行なって行く。

 

以上