金1・銅2、代表全員が勝利の過去最高成績を収めた日本
オリンピック、パラリンピックとも閉幕した東京2020大会。7月24日から8月8日まで、80の国と地域、男子8階級の187選手、女子5階級の102選手が参加したボクシング競技で繰り広げられた276試合では、新たな記録が多く生まれました。今回、ボクシング競技を運営したIOC(国際オリンピック委員会)ボクシング・タスクフォースも、その主だったいくつかをピックアップしています。
2016年に開催されたリオデジャネイロ・オリンピックでは、女子ボクシングが3階級・36選手での実施だったのが、今回の東京大会では5階級・102選手に増やされ、一方で男子ボクシングの階級が10階級から8階級にカットされました。これはIOCが掲げている「男女平等」を目指す一環です。
■リオ大会でボクシングのメダルを獲得した国は19。東京大会では25に増加しました。最高成績を収めた国はキューバで、男子ライト級(63kg級)のアンディ・クルス選手、同ウェルター級(69kg級)のロニエル・イグレシアス選手、同ライトヘビー級(81kg級)のフリオ・ラ・クルス選手が金メダルを獲得。同フェザー級(57kg級)のラサロ・アルバレス選手が銅メダルを獲得しました。現在も女子ボクシングの参加を見送っている同国は、男子競技の実施階級半分を制覇することで、メダル争奪戦のトップとなりました。
■女子ボクシング史上初の日本代表となったフェザー級(57kg級)の入江聖奈(日本体育大学)は、2012年ロンドン大会のミドル級で金メダルを獲得したクラレッサ・シールズ選手(アメリカ)の19歳に次に年少の女子ボクシング金メダリストとなりました。入江と同級で銅メダルを獲得したイルマ・テスタ選手(イタリア)はイタリア史上初の女子ボクシング・メダリストとなりました。
■フィリピン・スポーツ史上初の金メダル獲得を期待され、決勝戦で入江に敗れるまで快進撃を見せたネスティ・ペテシオ選手は、1996年アトランタ大会以来のボクシング・メダリストとなりました。その後、同国では男子フライ級(52kg級)で田中亮明(中京高校・教諭)らを破ったカルロ・パーラム選手(フィリピン)も銀メダルを獲得しています。なお、フィリピンは今大会、重量挙げ競技のヒディリン・ディアス選手が同国初のオリンピック金メダリストとなっています。
■上述のキューバ人金メダリストのうち、イグレシアス選手とロペス選手はボクシング競技の7、8人目の2階級制覇を果たしました。また、イグレシアス選手とアルバレス選手はフェリックス・サボン選手(キューバ)、テオフィロ・ステベンソン選手(キューバ)に続いて、メダルを3個獲得した史上3、4人目のボクサーとなりました。3大会連続で銅メダル獲得のアルバレス選手は、史上初めて3階級でメダルを獲得したボクサーとなりました。
■ガーナのサミュエル・タキイ選手は、同国にとって1992年バルセロナ大会での男子サッカー・チーム以来の銅メダルを自国へ持ち帰りました。
■女子フライ級(51kg級)では、ストイカ・クラステバ選手(ブルガリア)、ブセ・カキログル選手(トルコ)、黄篠雯選手(中華台北)が、それぞれの国にとって女子ボクシング史上初のメダルを獲得。日本代表の並木月海(自衛隊体育学校)も、入江が史上初となった直後のメダル確定でした。
■女子ライト級(60kg級)ではミラ・ポトコネン選手(フィンランド)は40歳264日目で銅メダリストとなりました。本来であれば、2020年末で年齢制限に達したポトコネン選手ですが、オリンピックが1年延期されたことで、この期間も延ばされました。
2024年のパリ大会では男子が7階級、女子が6階級で双方126選手でさらなる男女平等化が決まっています。この中でどんなドラマが起こるのか。その過程から、楽しみましょう!