10階級中5階級がキューバ勢だった前回の優勝者(by AIBA)
ロシアのエカテリンブルクで開催されている『第20回世界ボクシング選手権』は、5日目(現地時間13日)のプログラムまでが終了。次の日本勢出場は、14日の63kg級(ライト級)・成松大介(自衛隊体育学校)とEranosyan Otar(ジョージア)の2回戦で、シードで16日の初陣を待つ69kg級(ウェルター級)・岡澤セオン(鹿児島県体育協会)の相手も、5日目の1回戦でHambli Wahio(フランス)に決まりました。
今回は、この選手権で過去に金76個・銀34個・銅25個の圧倒的なメダル獲得数を誇る最強国家、キューバをおさらいしてみます。
1974年以降、2年に1度のペースで開かれてきたこの選手権の第1回大会は、キューバの首都ハバナが開催地でした。2016年に他界した最高指導者フィデル・カストロの愛するスポーツとして、ボクシングは野球のように重点を置かれ、「プロボクシング禁止」の集中力と「選手が亡命するリスク」の狭間で、ドイツのハンブルクで行われた前回大会でも、キューバは金5・銀2を獲得。最強神話を再建しました。
選手個々の成績で見ても、歴代最高の実績はフェリックス・サボン(キューバ)による金6・銀1。2位はファン・エルナンデス・シエラ(キューバ)の金4・銅1で、3位もフリオ・セサール・ラクルス(キューバ)の金4です。ラクルスは、今回も81kg級で出場しています。
また、今大会で最注目のゲームが実現するのだとしたら、57kg級でのラサロ・アルバレス(キューバ)対カイラット・イエラリエフ(カザフスタン)と言われています。過去に金3・銀1を獲得して歴代4位タイのアルバレスは、近年、60kg級を主戦場としてきましたが、階級区分の変更により、57kgまで体重を落としてきました。一方のイエラリエフは前回の56kg級優勝者であり、高次元な攻防が期待されます。
日本も57kg級といえば、この選手権の選考会でも村田昴(自衛隊体育学校)、堤駿斗(東洋大学)、森坂嵐(東京農業大学)、藤田健児(自衛隊体育学校)といった実力者たちが代表争いを繰り広げた激戦区であり、ライバルの戦力分析としてもキューバ勢は見逃せないところです。ちなみにアルバレスはアウェイでの試合をやや苦手としており、過去2回の五輪では、共に開催国の選手に敗れ、銅メダルとなっています。アルバレスしかり、前述のラクルスしかり、以前ほど成績に安定感はなく、「キューバには絶対勝てない」という先入観を持つ必要は、日本勢にもまったくないでしょう。
大会5日目・試合中継