12月にオンラインで開かれるAIBA(国際ボクシング協会)の会長選挙に関して、11月2日の立候補締め切りが迫るなか、ロシア・ボクシング連盟の書記長であり、AIBAマーケティング委員会の委員長であるウマル・クレムレフ氏が立候補を公式発表。オンライン会見でこれまで以上に豪快なマーケティングをマニフェストとして掲げました。
18カ月前にガフール・ラヒモフ前AIBA会長が辞任後、常に次期会長候補として強い印象を与えてきたクレムレフ氏は、新型コロナウイルス感染による入院を終え、この選挙に向けて「50か国以上から立候補を推された」とアピールしました。
かつてプロボクシングのプロモーターであったこの37歳は、近年、活動拠点をオリンピック・ボクシングに移してきました。その存在感は2018年、AIBAの約17億円の負債に対し、「自己資金から返済するので、東京オリンピックへの関与をAIBAに認めさせて欲しい」と申し出たことで国際的にも大きく広まります。
その後は7月22日を『国際ボクシングの日』に定め、プロボクシング界との親睦を深める『世界ボクシングフォーラム』も開催。ロシア国内を中心に壮大なイベントを多く開いて来たほか、各大陸でAIBAフォーラムを実施。加盟諸国のボクシング連盟から意見を汲み取るなど、大きな影響を与えてきました。
一方で、IOCから強く否定されたラヒモフ前会長の正統後継者の印象が強く持たれていることに懸念があり、プロボクシング団体WBA(世界ボクシング協会)との密接な関係を再開させる計画にも、賛否が大きく分かれています。
今回の会見でクレムレフ氏は改めてAIBAの借金返済を約束。「ボクシングは最も人気のあるスポーツの一つであり、多くの企業が契約に関心を持つ。AIBAイベントの放映権はとても魅力的なので、2年以内にAIBAは5000万USドル(約52億円)のスポンサーを引きつける」と豪語しました。
また、次期会長に問われる最も重要なIOC(国際オリンピック委員会)との関係再開については「2024年パリオリンピックまで解決する」と断言し、組織の「透明性」を高めることを約束しました。
クレムレフ氏が開催を目指す大会には『AIBAグローバルカップ』があり、これは2008年以降開催されていないワールドカップの改造版です。賞金総額は200万ドル(約2.1億円)を予定し、各階級の優勝者に10万ドル、準優勝者に5万ドル、3位に2万5000ドルと、プロボクシングのプロモーター出身ならではの豪快なマーケティングが特徴です。
【ここまでの立候補者】
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ヴァン・デル・ヴォルスト氏(オランダ=関連記事)
ウマル・クレムレフ氏(ロシア)