今月の理事会で新たな課題に直面
IOC(国際オリンピック委員会)のタスクフォース(特別作業部会)が東京オリンピック後の採点改革を検討している一方で、今までオリンピックのボクシング競技運営を任されていたAIBA(国際ボクシング協会)は、2024年のオリンピックまでに、その地位に復帰するため、主要役員が様々なアイデアを出しています。
日本でも多く報道されたように、AIBAは問題が山積みになった状態として、IOCの承認団体から除外されました。これにより、いっそう解決の難しくなった課題である「1600万ドル(17億5千万円)の負債」を、ロシア・ボクシング連盟のウマル・クレムレフ書記長は「個人で肩代わりをしたい」と申し出ましたが、同書記長はそれ以外に、グローブやヘッドギアでも老舗となるグリーンヒル社が「200万ドルの5年契約を結ぶ用意がある」とも発表しています。
その他のIOCからの課題には「ガバナンス」、「ドーピング」、「審判」などがありましたが、新たに直面した問題が「人材不足」です。今月19日、中国・厦門で開かれた常任理事会では、28人の理事のうち15人の出席が必要とされる中、その人数を満たさないという前代未聞の出来事もありました。AIBAでは、今年3月29日からモロッコ人医師のモハメド・ムスタザン氏が暫定会長となっていますが、信頼回復には、365日以内に正規の会長を選出しなければなりません。
予選を含め、東京オリンピック事業への関与を停められたAIBAは、エリート(19歳以上)、ユース(17歳~18歳)、ジュニア(15歳~16歳)、スクールボーイズ(13歳~14歳)などの世界選手権で、主催組織であることには変わりなく、今の混沌は決して、私たちにとっても他人ごとではありません。
上述のクレムレフ書記長は、55ヶ国に、世界選手権の開催可能な施設があるとも説明しています。求められているのはギブアップか、ネバーギブアップか。その答えが出るのも来年以降となります。