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ホーム > 【特集】ベテランの境地、最年長代表の強豪国分析(キューバ編)

特集】ベテランの境地、最年長代表の強豪国分析(キューバ編)

2020-02-15 04:52:01

 今年1月にカザフスタンで行われた合宿は、低酸素の山奥で娯楽から切り離された世界ボクシングアカデミーで行われましたが、キューバやカザフスタン、ハンガリーのトップ選手たちと合同という参加選手たちが“ぜいたく”と感じた充実度でした。それならその貴重な経験を共有させてほしいと思いたくなるのは当然のこと。そこで今回は、東京オリンピック予選代表の最ベテラン・最年長で、2016年にリオデジャネイロ・オリンピックも経験している男子69kg級・成松大介(自衛隊体育学校)にキューバの強さを解説して頂きました。

 

成松「僕は以前にタイの国際大会でキューバの選手と試合をして負けたことがあります。それだけでは“キューバの強さがどんなものか”を細かく分析できませんでした。でも、例えばリオデジャネイロ・オリンピックの2回戦でカルロス・バルデラス選手(米国)に負けて、“得体の知れない強さだ”とそのとき思っても、アメリカ・チームと合同練習をすると、“なるほど、アメリカの選手には動きにこういう傾向があるのか”と見えて来たりします。“知ること”が勝率を高める上でいかに重要であるかは言うまでもありません。今回の合宿では、キューバのトップチームと練習や食事が同じ時間、寝室も近かったので、休憩時間まで常に身近な環境で2週間過ごしました。そこで気づいたのが“腱の長さ”です。足が長いのにふくらはぎ(下腿三頭筋)がコンパクトにまとまっていて小さい。大半の日本人には、膝から腱までを覆うように大きなふくらはぎがあります。これがどんな差を生みやすいかと言うと、キューバのトップ選手たちは相手のパンチを外して打ち返すまでの瞬発力が圧倒的に優れてきます。キューバ人以外でもプロボクシングのフロイド・メイウェザー・ジュニア氏(米国)がスウェーで相手の攻撃を外して体勢を戻しながら右ストレートを打つまでが、すごく速いと感じたことがあると思います。あのスピードを大抵の日本人がマネしようと思っても、極めて習得しにくいと思うんです。我々のほうが胴が長いことを考えるだけでも、戻すのに時間がかかって来ますね。同じ身長の選手でも、キューバの選手たちは背中を着け合った柔軟体操のときにお尻の位置が全然違いました。スピードは、生まれ持った才能に大きく左右されます。そしてキューバ人たちはそのスピードが自分たちの武器だと見出し、磨きをかける切磋琢磨をしています。もちろん、最初から“自分には絶対マネできない”と決めるのも共感できませんが、僕のようなベテランが国家代表レベルで張り合うなら、勝てないものは勝てないと割り切ることも重要だと思っています。腱は僕くらいの年齢になると鍛えられないと聞いたことがありますし、もともと極端には太くできないはずです。ベテランらしく知識で上回ったり、別の面で勝負しないと…ってことですね」

 

(カザフスタン編へ続く…)

リオ五輪81kg級・金のフリオ・デラクルス選手(キューバ)は91lg級に転向した。重量級だが今も軽快。(動画

昨年のパンアメリカ競技大会でも男子ボクシングはキューバの独壇場だった(下記参照)。一方で女子ボクシングには参加を見送り続けている。

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