「未来はもっと強い日本」を目指して、昨年のアジア・ジュニア選手権、アジア・ユース選手権でメダルを獲得したホープたちに、その体験を聞いていくこのシリーズ。東京オリンピックが近づき、エリート(成年)の活動が忙しくなったため、少し時間が空きましたが、今回はアジア・ユース選手権で女子48kg級・金メダルを獲得した篠原光(日本体育大学桜華高校)にインタビューしました。
――ライトフライ級(48kg)では高身長であることも篠原選手の特徴です。
篠原「最近、止まり始めて、今、167cmです」
――去年は国際トーナメントを2度経験しました。いずれも金メダルを獲得しています。
篠原「最初に出場したハンガリーの大会では、すごく緊張したんですけど、ようやく動揺しないようになってきました。ハンガリーで4試合して、アジア・ユース選手権は合計3試合でした」
――ユースやジュニアの国際大会で勝つには、どんなことが大切だと感じましたか。
篠原「少しでも慣れる訓練だと思います。アジア・ユース選手権の前に、横浜の大橋ボクシングジムにアメリカから女子選手が来たことがあって、そのときにスパーリングをさせてもらったのも精神的にプラスになりました」
――外国の滞在自体で戸惑ったことはありますか?
篠原「ハンガリー(8時間)でも時差は気にならなかったんですけど、モンゴルの気温はマイナス32度まで下がったので、乾燥もしていて体調管理が大変でした(笑)」
――今年、世界ユース選手権が実現したら出場したいですか?
篠原「はい。アジア・ユースは全試合が3−2の割れた判定でした。実際にみんな強敵で、どっちが勝ってもおかしくない内容だったんですけど、世界にはもっと強い人がいると思って、その人たちに勝てるように、実力と自信を高めていきたいです」
――充実度の高いアジアのライトフライ級を制したのは自信につながりませんか。
篠原「スイッチ対策に課題が残ったかなと思いました。1回戦のインド人と決勝戦の中国人がそうだったんですけど、2人とも遠い位置からスイッチを入れて、突然近くに来て、パンチを振ってくるタイプでした。自分はこのスタイルに慣れていなかったので、特に1回戦ではどう対応したらいいのか分からなくて大変でした。とりあえず身長で自分が大きく上回っていたから、左のリードジャブで、入ってこさせないようにしていたんですけど、そうしたら、力ずくで距離を詰めてきて…(笑)。どっちが勝ったか、自分でもよくわからなかったら、判定は不安でした」
――大会中に心掛けたことは他にありますか?
篠原「海外には本当にいろんなタイプの選手がいるから、会場でいろんな試合を観て、次の対戦相手と似ている選手を探して、その対戦相手がどういう動きをしているか、ヒントを得ていました」
――苦戦も経験したとは言え、中学時代から国内外で公式戦無敗です。これにこだわりは?
篠原「ここまで来ると、さすがにこだわっちゃいますね(笑)。このまま世界一になりたいけど、ギリギリで勝てているのが現状だから、安心感がない。もうちょっと力をつけないとダメだと思いながら、毎日の練習に取り組んでいます」