IOC(国際オリンピック委員会)は、IBA(国際ボクシング協会)の複数の方針に賛同できない警告として、2024年パリ・オリンピックでのボクシング実施を取り消す可能性にも触れて声明を出しました。
IBAは2019年、IOCに公認団体から除外されました。関係を再開するために解決を求めた課題には、メインスポンサーであるガスプロム社との契約内容を公開することも含まれます。同社はロシア政府が主導権を強く持った組織であり、1カ国への資金源依存に、IOCは懸念の意を込め、契約内容の公開を求めていました。
これに納得する対応が示されぬまま、契約を更新したことが先日、IBAの通常総会で発表されたことを受け、IOCは声明文で「最近のIBAの国際大会は、競技自体への関心ではなく、組織の強さを誇示しているものである」などと批判し、IBAはウマール・クレムリョフ現会長が就任する以前の問題を自己批判することで、ガバナンス(政治の健全なプロセス)違反の問題から気を逸らしているとも告げています。
ガバナンス違反の具体例には、今年5月に行われた会長選挙にCAS(スポーツ仲裁裁判所)から「正当性に欠いた」と判決が出たものの、再選挙前の議決で「正当性があった」と決定し、再選挙実施を却下したことを挙げています。
IOCは声明文で「これらすべてを考慮に入れて決定する際、2024年パリ・オリンピックのボクシングを取り消す必要があるかも知れない」と警告しました。
現在では2020年パリ・オリンピックは、昨年の東京オリンピックと同様、IBAの関与を遮断してIOCが独自に設けるボクシング・タスクフォース(BTF)によって管理される予定です。
2028年ロサンゼルス・オリンピックでのボクシングは、ほか2種目の既存競技と同様、事業計画に加えるかどうかの判断が来年の最終判断まで保留されています。
この声明文に対し、IBA側も反論の声明を発表しています。(後述)