10月26日から11月6日までセルビアの首都ベオグラードで開催される第21回男子世界選手権に、AIBA(国際ボクシング協会)は日本円にして総額約3億円の賞金を用意したことを改めて発表しました。
この大会では、AIBAが今年8月1日から改定した新しい体重区分(参照)が適用され、その13階級の金メダリストに、一律で10万米国ドル(約1100万円)、銀メダリストに5万ドル(約550万円)、銅メダリストにはそれぞれ2万5千ドル(約280万円)が後日授与されます。
2010年に発足したプロスポーツ式イベントのWSB(ワールド・シリーズ・オブ・ボクシング)で生じたとされる高額な負債とIOC(国際オリンピック委員会)からの助成金停止によって、近年のAIBAは「破綻危機」を認める深刻な財政難でした。しかし今年4月、ロシア企業のガスプロム社とスポンサー契約を交わした以降、財政の急速な回復を示し、翌月には「借金完済」を報告したほか、各国連盟や各大陸連盟に開発助成金を保証しています。アジアでもエリート、ユース、ジュニアの大陸選手権大会で、メダリストに賞金が授与されました。
1996年アトランタ・オリンピックの金メダリストで、プロボクシングでもWBO世界フェザー級王者として活躍したAIBA事務局長のイシュトヴァン・コバチ氏は、世界選手権の賞金について「私はこのチャンスがボクサーにとって、どれほど意味があるかを知っている。AIBAは選手が生計を立てるだけでなく、モチベーションを高めるための公正な機会を提供する。“持続可能なボクシングの道を築く”という目標に向けた大きな一歩です」と述べました。
実際にこの賞金の発表は、東京オリンピック直後で休暇モードだった各国のトップ選手の間でも、大きな反響を呼んでいるようです。