日本ボクシング界の参加者
先月29日から31日にかけて、墨田区の両国国技館で行われた東京五輪テストイベントは、限定された関係者のみで実施されましたが、世界中のスポーツ関係者が、五輪ボクシングの信頼回復を期待し、競技の枠を超えて注目しました。東京五輪は既報のモニタリングシステムの他に、コーナーポストに設置された4台のビデオカメラによってもサポートされる方針です。他にも今年は様々な国際大会でパンチ測定用チップがグローブ内に用いられるなど、納得度の高い判定への改善が模索されています。男子52kg級でテストに参加し、決勝で2019年世界選手権3位のSaken Bibossinov(カザフスタン)に敗れた柏崎刀翔(福井県スポーツ協会)は、表彰式後、ミックスゾーンでの取材で「正確な判定になることは選手のモチベーションにもつながるし、判定が分かりやすくなれば、未経験者の面白さが伝わりやすくもなる」とコメントしました。
IOC(国際五輪委員会)のスポーツディレクターであるキット・マッコネル氏は、伝統武道の相撲で知られるこの会場を「単なるスポーツアリーナではなく日本文化の祭典を感じさせる素晴らしい機会だ」と絶賛しました。この価値観はテストイベントで試合をした選手にも共有され、男子63kg級の準決勝でインドのエース、Shiva Thapa(インド)に敗れた成松大介(自衛隊体育学校)は、優勝できなかった悔しさを語る一方で「朝青龍の好きな相撲ファンなので、ここで戦えたことは感慨深かった」ともコメントしました。
日本人唯一の優勝者は男子69kg級・岡澤セオン(鹿児島県体育協会)でした。岡澤は自身と同様、日本人の母とガーナ出身の父を持つ陸上・短距離界のサニブラウン・ハキーム選手を挙げ、「同じように東京オリンピックの栄光に向かって駆け抜けたい」とコメントしました。