モハメド・アリことカシアス・クレイ氏(米国=1960年ローマ・オリンピック金メダリスト)の「戦わない最強の敵」として有名だったのは、クレイ氏がプロボクシングで活躍した時代にオリンピックの金メダルを3度獲得したテオフィロ・スティーブンソン氏(キューバ)ですが、このスティーブンソン氏を「2度攻略したボクサー」として知られるイゴール・ヴィソツキー氏が、4月2日、69歳で亡くなりました。
ロシア系ユダヤ人のヴィソツキー氏は、海軍だった父・ヤコフ氏にも、ドイツ軍の捕虜時代にマックス・シュメリング氏(ドイツ人唯一の世界ヘビー級王者)のスパーリング・パートナーを任された経歴があります。
本人の対スティーブンソン戦は1973年にキューバ国内で3-2の判定勝ち。1976年4月にはソ連内で3ラウンドRSC勝ちを収めた他に、のちのプロボクシング世界ヘビー級王者であるトニー・タッブス氏にも、2ラウンドRSC勝ちを収めています。ケガの不運もあってオリンピック出場を逃しましたが、1978年にはモスクワでモハメド・アリ氏と勝敗をつけないエキシビション戦もおこなっています。
選手引退後はモスクワ州ボクシング連盟の副会長を務め、父ヤコフ氏の追悼大会も開催していました。お悔やみを申し上げます。