2024年までのテコ入れを
示唆した渡辺座長
大きく荒れた「ガバナンス」を最大の理由としてIOC(国際五輪委員会)から競技運営の公認を剥奪されたAIBA(国際ボクシング協会)に代わって、2020年東京五輪でのボクシング運営を任されているIOCのタスクフォース(特別作業部会)は、10月31日、東京五輪ボクシング競技の会場(墨田区・両国国技館)で、テストイベントの実施数時間前、試験段階にある採点のモニタリングシステムを公開。これを今後、どのような方向に発展させていきたいかなどを タスクフォース座長の渡辺守成氏は、報道関係者に説明しました。
システム実施の目的はIOCから懸念された一つである「八百長疑惑」への対応です。2016年リオ五輪での判定には、世界中から不満の声が上がり、審判の買収も疑われました。渡辺氏は採点方法が東京五輪に向けて既存の『10点法』から劇的に変わるという説を否定。今回、公開したのはあくまでモニタリングであってスコアリングは別だと説明しました。そして「公平なルールに変えること自体は簡単だし、“何をもって重いパンチなのか”を突き詰めれば、その公平性をさらに進化させることもできる。ただ、リオ五輪が終わってから、選手たちが2020年東京五輪に向け、今の採点で走ってきたのに、予選2、3か月前にルールを変えることは、それ以前のキャリアを無駄にしかねない。悪い問題は東京五輪後に洗い出して、2024年を目指す」と、パリ五輪まではタスクフォースがこの競技を管理する意向も示唆しました。
また、現在の10点法については、不適当だと感じていると語り、「観客、スコア、モニタリングを共通理解できる形に変えていくには、まだ難題がある。ただ、負けた印象があっても勝ってしまうことに説明が不足していたのは確かなので、あやふやなルールをシビアにしていかなければならない」との責任感を示し、「審判が採点を微調整しないためにも、スコアをリアルタイムで掲示したいが、色々な意見があるので今後も様々な場所でテストし、改良していきたい」と続けました。
その後もインタビューで重点的に語られていたのが「有効打の基準」でした。審判によって異なるこの判断を共通させる課題について「ボタンが5つでは多すぎるが、例えば3つに増やして、重さに合わせたボタンを押すという方法もある」と語り、先に体操競技でルールを変更した際、「“水平”とはどの程度が許容範囲か」をIT導入で忠実にできたので、そのノウハウを活かしたいとも述べました。
本連盟副会長の菊池(左)
次に日本ボクシング連盟副会長の菊池浩吉もインタビューに応じ、今月、鹿児島県の阿久根市総合体育館で行われる全日本選手権で、このモニタリングをする意向を語り、「先日の世界女子選手権でも、会場では採点にナンセンスだという声が多く出ていた。しかも、表彰台入りのかかった試合からそれが突然多発したが、現段階のモニタリングシステムでも不正の抑止力になる」との印象を語り、有効打の基準を3つ以上に分けるアイデアについては「強打をどう評価するかで、戦略が変わってくる。どれも同じであれば手打ちになる。ルール改正には世界中の指導者が注目する」と述べました。