オンライン講座の定期開催も
後日に希望したシン氏
東京オリンピックの1年延期、相次ぐ国内大会の中止決定、さらには緊急事態宣言による外出自粛要請の現状を踏まえ、本連盟が同オリンピックの大陸予選に出場した日本代表メンバーを対象に実施しているオンライン講座。4月19日に行われた第2回はJOC(日本オリンピック委員会)の強化コーチとしてウズベキスタンから招かれ、国際的な強化計画で欠かせない存在となってきたウラジミール・シン氏による『今後の計画』でした。第1回同様、一般公開する予定は当初ありませんでしたが、複数のマスメディアから内容に関するご要望がありましたので、下記に記載いたします。また、シン氏は月曜から日曜までの具体的な自宅練習のメニューも指示しましたが、ここでは割愛させていただきます。
講座でのシン氏のコメント
「ここまでの強化で私についてきてくれてありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大により、私の母国ウズベキスタンやロシア、カザフスタンといった強豪国でも、選手たちが外出できない現状があります。ただ、外を走れなくても、部屋でできることはあります。また、個人的には7月頃にチームの活動を再開し、ウズベキスタンで合同合宿を行いたいです。しかし、まだ先が見えませんので、まずはリラックスして病気にならないことを心がけてください。また、チーム全体での練習にはチーム全体の目標があります。コーチからもその方法に相談があったので、話し合っていきましょう。新型コロナウイルス問題にも、必ず終わりがある。気を落とさずにできることをやりましょう」
男子52kg級・田中亮明(中京高校・教員)
シン氏からのアドバイス
「経験がある上に自信を付けてきましたので、向上心や勝利への執念は見上げたところがあっていいなと思っています。課題は殻を破ること。そのために、120%の手数を考えましょう」
選手本人の講座終了後
「自分自身もそう感じているので、毎日の練習で意識し、継続していきたいと思います。ありがとうございました」
男子63kg級・成松大介(自衛隊体育学校)
シン氏からのアドバイス
「経験があって気持ちが強く、フットワークもいいので、大いに期待を持たせてくれる選手だと思っています。試合の山場をつくってポイントを取り、結果につなげることが大切です」
選手本人の講座終了後
「有意義な時間を過ごせました。シン・コーチは自分たちのことを家族のように思って接してくれてるんだと改めて思いました。今後、シン・コーチと選手、または担当コーチ間で少なからず意見の衝突はあると思いますが、これも互いを理解し、全体のレベルを上げていくには必要な過程だと思うので、自分の考えというのをしっかりと伝えていきたいと思います。シン・コーチの考えと選手それぞれの考えがうまく組み合わり、いいバランスを取れれば、全体のレベルが上がると確信しました」
男子69kg級・岡澤セオン(鹿児島県体育協会)
シン氏からのアドバイス
「ボクサーになるために生まれてきたように、必要な素質を持っています。フィジカルや勝ちたい気持ちも強いので、経験を積むことで結果につなげることができるでしょう」
選手本人の講座終了後
「これまでよりも攻撃的なボクシングができるように、練習を積みたいと思います。こうして一人一人に対してよく考えてくださっているコーチがいることをとても幸せに感じます。シンさんを信頼してオリンピックまで頑張っていきます」
男子75kg級・森脇唯人(自衛隊体育学校)
シン氏からのアドバイス
「“敢闘精神”があって身体能力も高い。逃げずに正面から打ち合っていく能力が非常に高いです。後は距離を取ってカウンターを狙ってくる相手をどうさばくかですね。世界の上位と戦って、経験でそれらを身につけてほしいと思っています」
選手本人の講座終了後
「シンさんが言うように、いま自分がやるべきことは練習なので頑張ります」
男子81kg級・梅村錬(拓殖大学)
シン氏からのアドバイス
「タフネスに秀でて正面から打ち合えば非常に強いと思っています。長身の選手に対応する技術を意識していってください」
選手本人の講座終了後
「今まで長時間お話がしたことがなかったのですが、考え方や、選手のことをすごく思ってくださっていることがわかりました。外出自粛中の個人練習のメニューを考えてくださったり、選手一人一人のシンさんから見た課題やアドバイスを話してくださるなど、選手のことを1番に考えてくださっていることを知ることができ、ありがたかったです。シンさんを信じて、自分のやるべきこと、課題を1つ1つ治して解決していき、世界で勝つためのボクサーになります」
女子51kg級・並木月海(自衛隊体育学校)
シン氏からのアドバイス
「フィジカルも気持ちも強いファイターで技術力も高まって来ていると思っています。長身の選手にもっと自信を持って戦うためにメリハリのついた攻撃を覚えて行って欲しいと思っています」
選手本人の講座終了後
「今やるべきことを明確に知ることができました。まず、1週間の練習メニューをいただけたので、無駄もなく練習に望むことができると思いましたし、しっかりとやって行きたいと思います。個人の良さと課題を教えてもらえたので、練習に取り入れつつ課題を克服します。身長の高い選手との戦いにもっと自信を持っていいと、シンさんに言ってもらえたので、しっかり自信を持って今後臨んでいきます。こんな時期だからこそ日々の鍛錬が大切だとわかりました。今、どれだけ努力できるかでオリンピックでの結果も変わっていくと感じました。シンさんから“試合中に考える暇はない”と言われ、本当にその通りだと思いました。反射的に身体が動けるようになるまで日々鍛錬して行きたいです」
女子57kg級・入江聖奈(日本体育大学)
シン氏からのアドバイス
「フィジカルが強くて向上心も豊富。そして、どんな相手にも勇気を持って戦うことができます。あとはスタミナの向上とカウンターの引き出しを増やすこと、国際大会に慣れることがさらなる成長を生むでしょう」
選手本人の講座終了後
「今日はすごく参考になりました。今日言われたことを克服するために日々の鍛錬を頑張りたいと思います!」
女子60kg級・濱本紗也(日本大学)
シン氏からのアドバイス
「色々なものを吸収しようとする積極性を持ってきたので、技術力もが悪くなく、打ち合いでも手数で劣りませんね。あとは防御技術を高めれば、被弾が減ってとさらに成長できると思います」
選手本人の講座終了後
「今の練習環境への不安や、今後の練習環境への不安があったのですが、シンさんのメニューを参考に行動していきます。新型コロナウイルスが収束してからの合宿や遠征に備え、毎日の積み重ねを大切にしていきます」
女子69kg級・鬼頭茉衣(中京大学・大学院)
シン氏からのアドバイス
「フィジカルが強くて打たれ強いので、正面での勝負にアドバンテージがあると思っています。長身の選手やカウンターを打つタイプの選手に慣れる必要がありますので、実戦を増やして、経験を積みたいです」
選手本人の講座終了後
「コロナがいつ収束するのか分からない生活を不安に思っていましたが、シン・コーチからウズベキスタンに合宿に行きたいなど前向きなお話を聞くことができ、大きな希望が見えました。また、一人ひとりのボクシングを評価をしていただき、自分の課題や弱点を的確に指示していただけたことで、客観的な視点からもきちんと自己分析をすることもできたと思います。具体的な練習メニューも指示していただけたので、また明日から自分のできる最大限のトレーニングを行い、どんな状況でも、価値ある時間だったと思えるよう取り組んでいきたいです」
※男子57kg級・堤駿斗(東洋大学)、女子75kg級・津端ありさ(西埼玉中央病院)は、スケジュールの都合がつかなかったため欠席でした。
シン氏からのアドバイス
「堤選手は距離を詰めても離れても打てますし、どんな展開でも対応できるのが大きな力だと思っています。大きい国際大会やこの階級の上位選手との対戦を経験する必要があります。また、減量方法を確立してベストコンディションで試合に臨む必要もあります。津端選手は気持ちが強く、打たれ強さもあります。課題には体重コントロールと体づくりと、あとは持久力が挙げられますが、それ以上に経験が必要でしょう」
◎本連盟によるオンライン講座予定
【第1回】4月18日
講師:村田諒太氏『選手と質疑応答』
【第2回】4月19日
講師:シン・ウラジミール氏『今後の計画』
【第3回】4月26日
講師:寺中靖幸氏『フィジカル強化について』
【第4回】5月2日
講師:相澤徹氏『トップアスリートのコンディショニングを考える』