東京オリンピックのボイコットを示唆したクレムレフ書記長
5年前の陸上競技を発端に、国家的なドーピング不正を指摘されてきたロシアが、今回はそれに関わるデータ改ざん(削除や置き換え、日付変更など)を行ったとして、今月9日、WADA(世界反ドーピング機構)から来年の東京オリンピックなどの主要大会から4年間除外され、その決定がIOC(国際オリンピック委員会)に認められました。ロシアの選手たちは、昨年の平昌冬季オリンピックでもOAR(ロシアからの個人選手)という国名の入った選手団で参加しましたが、その後、この除外は一度解除されていました。
悪化を極めたこのドーピング問題では、ボクシング競技も渦中にあり、2016年リオデジャネイロ・オリンピックでミーシャ・アロイヤン(ロシア)の獲得した男子52kg級の銅メダルは剥奪されています。また、IOCがAIBA(国際ボクシング協会)に責任と早期解決を求めた一つにも、この問題がありました。
今回の決定は、来年、ロシアで開かれようとしていた新イベント、『ボクシング・ワールドカップ』にも影響するため、同国ボクシング連盟のウマル・クレムレフ書記長は「制裁が覆らなければ選手は五輪に参加しない」とボイコットを示唆しています。最終的な決定権を持つウラジーミル・プーチン同国大統領は「スポーツ仲裁裁判所に不服を申し立てる根拠はそろっている」と争う姿勢を示しました。
ロシアと言えば、1980年にモスクワで開かれたオリンピックを、日本は政治的事情でボイコットした悲しい歴史があります。2020年東京オリンピックで、今度は逆のことが起こりかねない危機は、多くのスポーツファンにとって残念なはずです。
開催国を務めたロシア