来年開催の東京オリンピックでは男女の階級が上のように調整されており、言うまでもなく予選もこの新階級で実施されています。プロボクシングのようなポンド単位ではなくキログラム単位を基準にして、この20年間、様々な理由で調整を繰り返してきたボクシングの階級区分。今回はその経緯をおさらいしてみましょう。
今から10数年前、オリンピック・ボクシングの管理を委任されていたAIBA(国際ボクシング協会)は、2008年北京オリンピックでの女子ボクシングの種目採用をIOC(国際オリンピック委員会)に見送られました。その4年後、AIBAは不採用の理由を払拭するため、ボクシング試合におけるケガの報告が他競技と比べても多くない「安全性の証明」や、女子の試合が増えても男女の「総試合数を増やさない保証」、そして、オリンピック種目で唯一女子が認められていない競技という「違和感の強調」で種目採用をアピールしました。
これにより、2012年ロンドン・オリンピックと2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは、男子のトーナメント1階級分をカットし、それを3等分することで、3階級の女子トーナメントのオリンピック採用が実現します。
(前回までのオリンピック実施階級)
[男子] 49kg、52kg、56kg、60kg、64kg、69kg、75kg、81kg、91kg、91kg超
[女子] 48kg~51kg、57kg~60kg、69kg~75kg
今回の東京オリンピックでは、大会全体のテーマとして「男女平等」が追求されており、IOCはボクシングの男子2階級をカットし、女子2階級をプラスする変更を指示しました。これにボクシング界では「充実度における男女の大きな差」に関する具体的なデータを用いた反発が長く続きます。
最終的には、AIBAの女性理事の比率を高めることで運営の根幹から方向修正が行われましたが、昨年にもAIBAは「男子を10階級に戻し、女子でも10階級のオリンピック採用を目指したい」と目標を掲げています。ただし、オリンピックでのボクシングは全種目で最も長い期間、会場を使わなければいけない「開催国の大きな負担」が存在し、AIBAの理想を実現させるのであれば、別で代償を伴う可能性もあります。
現在の男女比率には、IOC、ボクシング界とも異なる再調整を期待しており、ボクシングの階級は今後も調整が続けられることが予想されます。また、AIBAが諸問題によってオリンピックへの関与を断たれた今では、IOCの意向に沿って、階級が調整される可能性が高いと言えます。